愛農学園オフィシャルブログ'08

　この１年、ラグビー部のキャプテンを務めてきたＳ君。青春をかけたラグビー部で得たものを話してくれました。
Ｓ君には愛農卒業生の兄が２人います。末っ子の彼は、中学の部活や進路は兄の強い意見によって決められ、半ばやけくそになって愛農に入学したそうです。兄の話から、愛農＝ラグビーだと思っていたＳ君。迷わずラグビー部に入りました。
　無我夢中でやっていたラグビーですが、はじめて試合でトライを取ったとき、とても嬉しくて、鮮明に覚えています。
「目の前にパスがあがってきて、夢中でトライした。先輩が何か言っていた。自分の中から何かがこみ上げてきて、腕が自然に上がって、何か叫んでいた。叫ばずにはいられなかった。」

　兄たちを尊敬していましたが、それがプレッシャーでもありました。しょせん末っ子と思われるのが嫌でした。収穫感謝祭のＯＢ戦に兄２人がきて、対決できたのですが、試合が始まって５～１０分くらいでケガをして退場することになり、とても悔しかったそうです。

　キャプテンになってしばらくは、がむしゃらに練習をしました。しかし、楽しくありませんでした。個人的な考えでやって、退部者もでてしまい、申し訳なかったとＳ君は話しました。原因は、目標をあいまいにしてしまったこと、チームとして何を目指しているのかわからない状態になってしまったのではないかと気づきました。

　そして、７人制ラグビーの試合で優勝。兄に報告し、少しは認めてもらえたかと思うと嬉しかったそうです。
また、チームのことを考えられるようになり、すごく成長できました。みんなを引っ張っていく立場となり、自分の私生活も見直すことができました。体を使って全身で押し合うラグビーは、まさに「One for all 　all for one」。地味なプレーをする人がいて、ボールが回ってくる人がいる。トライには、全員の想いがつながっている。結果だけでなく、過程の大切さ。

　最後にＳ君は、３年間ラグビーをやってきて、「自分に甘かったと思う。中途半端なことしかできなかった。もういちど１年からやり直したい気持ち」と言いました。でも、「僕にとって特別な時間だった。愛農でラグビーをやってよかった。一番楽しかったのもラグビー。」と話しました。

　ラグビーを通して自分をしっかり見つめ、成長させることができたＳ君。深く悩んだ時期を歩んできたから、優しさ、強さが加わりました。足跡はしっかり残り、後輩たちが引き継いでいくことでしょう。３年間ありがとう。